2016年5月号は網野俊さんです

ふるさと納税あれこれ

「ふるさと納税を知っていますか?」と聞かれれば、ほとんどの方は「知っている」と答えるでしょう。では、実際にふるさと納税をやっている人はどれくらいいるのでしょうか。私は、「やったことがある」もしくは「やっている」という人が1~2割程度はいると思っていました。ところが、ふるさと納税の実施者数を示す総務省の寄付金税額控除適用状況は次の表のとおりです。

 

H20年中

H21年中

H22年中

H23年中

H24年中

H25年中

H26年中

適用者数()

33,149

33,104

33,458

741,677

104,446

133,928

453,720

寄付金額

(百万円)

7,259

6.553

6,708

64,914

13,011

14,189

34,111

20年からH22年にかけてほぼ3万人強で横ばい。H23年に74万人に大幅増加したのは、東北大地震の発生で多くの方が義援金として寄付されたことがうかがわれます。しかし、翌年には10万人強まで急減、そこからの増加はふるさと納税での返礼品目当ての人々が増えた結果と見られます。ただ、H26年に増えたと言っても全国民の0,3%の方しか実行していません。まだまだ浸透しているとは言えないのではないでしょうか。

そもそも「ふるさと納税」の理念は「ふるさと納税で地方創生」です。地方創生の3つの意義は①納税者が寄付先と使われ方を選択する、②生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域や応援したい地域を支援する、③自治体もふるさと納税に真摯に取り組み地域の在り方を考えるきっかけになる、とされています。

 「ふるさと納税の仕組み」をザックリおさらいしましょう。特定の市町村にふるさと納税をします。すると2000円を超える部分について所得税・地方税から一定の上限まで税金が控除されるという仕組みです。また、平成27年1月1日以降実施の分については住民税の特別控除額が1割から2割に変更になりました。この変更は「納税額をもっと増やしても大丈夫ですよ」という国の地方創生施策そのものです。2000円を超える部分について全額控除されるふるさと納税額の目安は、総務省のホームページによると、「年収600万円、子ども2人、妻専業主婦家庭で53,000円」となっています。もっとふるさと納税が出来るという方もおられるでしょう。

 さて、これからが本題です。ふるさと納税は、市町村から返礼される特典を目的に行っている方が多いと思います。特典の主なものは①牛肉、米、魚介類、野菜、フルーツなど特産品②ワイン、地ビール、日本酒など③観光特典(温泉宿泊利用券)などです。「ふるさとチョイス」(http://www.furusato-tax.jp/)など、返礼品や使いみち、金額などからきめ細かく検索できるサイトもありますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

昨今では自治体間での特典(返礼品)競争が激化してきています。特典の多い自治体に納税額が多く集まり、住民の納税額を大きく上回っているところも多く見かけます。今年度に入り総務省が「ふるさと納税の行き過ぎ自粛を求める」通知を出しました。寄付に対するお礼にパソコンや商品券など特産品とは言い難い品物が出て来たためです。お礼の商品券がネットで売買される事例が散見され、本来の趣旨を逸脱していると言わざるを得ません。「この制度はあくまで寄付であり、対価の提供になるような返礼は控えて欲しい」との考えで総務省が動いたのは明白です。今後の自治体の動向が気になります。 

ふるさと納税も制度が始まって9年目、「ふるさと納税で地方創生」という理念にいま一度立ち返るべき時期が訪れているのではないでしょうか。               FPオフィスあみの 代表 網野 俊

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